この記事では、舞台用語として間違えやすい「鑑賞」と「観賞」を紹介します。見てくださったあなたは、よく似たこの2つの言葉の違いを説明できますか?
- 「鑑賞」と「観賞」、意味の違いは何なの?
- 舞台やコンサート、音楽、ライブなどの、具体的にはどのように使い分けるの?
違いを理解し、使い分けるポイントは「見る対象が持つ意味」です。
この記事では、「鑑賞」「観賞」の違いや、舞台・コンサート、テレビなどのシーンごとの使い分けについて紹介します。
Contents
【先に書いちゃう】観賞と鑑賞の違いは何なの?
かんしょう [鑑賞]
〈スル〉 芸術作品を味わい理解すること. ▼音楽~かんしょう [観賞]
三省堂ウェブディクショナリー
〈スル〉 見て楽しむこと. ▼花を~する
それぞれの意味を国語辞典で調べると、上記のような表現が出てきました。
鑑賞は「作品を味わう」、観賞は「見て楽しむ」ということで、見る対象が何かで使い分けているようですね。
もっと覚えやすく具体的に何なのかを、詳しく確認していきましょう。
鑑賞と観賞の違い・使い分けポイントは『見る対象』が何か
鑑賞するという言葉には、「目に映るものだけでなく、奥に潜む意味を汲み取る」という思考部分の作業が入ってくる動作になります。
花などに使用される「観賞」という言葉は、意識して見るというよりも「目に入ってくるもの」に使うことが多いです。
テレビやライブ、映画、舞台は鑑賞・観賞どっちなの?
「鑑賞」と「観賞」の違いを説明しましたが、モノによっては判断を迷うケースが出てくるかもしれません。
ここからは、私自身が「どっちだっけ…?」と悩んでしまいそうなものを厳選し、どちらの「かんしょう」を使うかを例示しておきます。
テレビ:鑑賞と観賞の使い分け①
一般的なテレビ(アニメやニュースなど)だと、流れている映像をただ見るだけの作業になることが多いため、「観賞」のほうがしっくりきますね。
しかし、放送されているのが「映画」だとすればどうでしょう?「映画鑑賞」という言葉がある通り、作品の意味を読み解くような内容なのであれば「鑑賞」のほうがぴったりですね。
映画:鑑賞と観賞の使い分け②
映画を見る場合は一般的に、ただ目で見るだけではなく、内容の考察や議論をしたり、音までをも体感したりするなどの作業も含まれています。
よって、「観賞」ではなく意味を考察するなどの意味も含まれる「鑑賞」のほうが適切でしょう。
舞台(ミュージカル・歌舞伎・コンサート・ライブなど):鑑賞と観賞の使い分け③
ミュージカル・歌舞伎・コンサートなどの舞台は、芸術性を含むと判断されるため「鑑賞」を使うほうが適切です。
ただし「観劇」という言葉がある通り、劇場や劇団によっては「観賞中」などと表記されることもあるようです。
これはあくまで想像ですが、「鑑賞」と書くと格式高い印象を与えてしまい、お客さんに近寄りがたい印象を与えてしまう気がします。
主催者側としては「あまり緊張しすぎずにリラックスしてきてほしい」という意図を込めているのかもしれませんね。
鑑賞と観賞 迷ったときの解決方法「個人の感性」判断でOK
例えば、「金魚」の場合はどちらの「かんしょう」を使うでしょうか?
一般的には「観賞」を用います。金魚を見る行為に「この金魚のブリーダーは誰?」「原産国はここだな」などの考察を普通しないからです。
しかし、実はその金魚が品種改良をされていて、品評会に出典中だったとします。
見ている人はおそらく金魚愛好家やブリーダーばかりなので、見極めるほうの「鑑賞」を使うのではないでしょうか。
このように、例え同じものでも「鑑賞」「観賞」両方を使う場合もあるため、答えは1つではありません。
大切なのは「あなた自身の感性」です。使い分ける時は「あなたがどういう風に見るか」という基準を大切にして使い分けてくださいね。